VOGUEGIRL「私らしく輝ける居場所を求めて。宮脇咲良が見つめる、挑戦の先にある新しい景色。」

VOGUEGIRLより

https://voguegirl.jp/special/sk2-changedestiny/210603-2/#!/g/1/7/

「運命を、変えよう。~#CHANGEDESTINY」をテーマに女性たちを応援してきたSK-IIが、新たなアニメーション作品として、世界のトップアスリートたちを主役にした「VSシリーズ」を発表! VSシリーズは 特に女性が経験することの多い、アンチ(SNS上での誹謗中傷)、プレッシャー(周囲からの圧力から芽生える自分への疑い)、ルックス(外見偏重による決めつけ)、ルール(美しさのルール)、リミット(人から決めつけられた限界)、マシーン(完璧さを追求するがゆえに立ちはだかる困難)の6つをテーマに描かれている。全6篇の動画を見ながら自らの経験について語ってくれたのは、宮脇咲良。HKT48のメンバーとして不動の人気を確立しながらも、日韓合同のグローバルグループIZ*ONE(アイズワン)で再デビュー。約2年半の挑戦を終えHKT48の卒業を間近に控える彼女が、過去、現在、未来について語る。

  • アイドルらしさとは?
    既定イメージから解放され、もっと自分らしく。
  • —韓国で過ごし、成長を続ける姿をネットやテレビ番組で拝見してきました。宮脇さんもさまざまなプレッシャーに立ち向かい、乗り越えてきたと思うのですが、「VS シリーズ」をご覧になった印象を聞かせていただけますか?
  • 私はゲームやアニメが大好きなので、まず見たときにCGのクオリティの高さに驚きました。実写からアニメーションへの切り替わりや、アスリートのみなさんの心情表現も素晴らしかったですし、レベルが高いなと。どの作品も、現代社会を生きる女性なら誰もが抱えるであろう葛藤が描かれていましたし、私自身アイドルをしているので、特に6篇の中でも「VS ルール」と「VS ルックス」に共感することが多かったです。これは私の勝手な思い込みなのですが、スポーツ選手のみなさんは表に見えるものとして試合の結果があるので、SNSでの評判を気にされているというイメージがあまりなかったんです。でも私たちと同じような悩みや葛藤を抱えていて、「いいね!」の数や人気ランキングが悩みの種になっているのだと、この作品を通して親近感を抱きました。
  • —これまでアイドルとして、彼女たちと同じような悩みに囚われてしまうことがあったのでしょうか?
  • 私たちはSNSとも距離が近いですし、何気ない発言が思わぬカタチでニュースになることも多々あります。常に誰かに見られてジャッジされるので、SNSでの評価も含めたアイドルとしての「ルール」に自分でも気づかないうちに囚われてしまうことも。今はだいぶ日本のアイドルに求められるイメージも変わったと思いますが、以前はカラコンや髪色、メイクを濃くするのはタブーだと思っていました。ファンの方がそれを喜ばないだろうという思いもあって、私もどこかでそれを守るしかなくて。なので、前田マヒナ選手がモデルになっているVSシリーズの「VS ルール」を見たときに、すごく気持ちがシンクロしました。日本古来の美意識として「ゆっくりしとやかに話すこと」や「くし通りのよい髪でいること」など、人が決めた美しくなるためのルールが出てきますが、同じように、アイドルの世界も「髪は黒くあるべき」、「足は細く長くいほどよい」、「いいねが多くなければいけない」というような暗黙のルールがたくさん存在します。実は根拠のないルールが、たくさんの人の、その人自身の美しさを縛っているのではと思うことも。もちろん私たちアイドルの場合は、たくさん注目をしてコメントまでくれるファンの方々に支えていただいているので、期待にも応えたい。そのなかで葛藤は正直ありました。
  • —韓国で活動をしたことで、ご自身の中のアイドル像は変化しました?
  • そうですね。13歳でHKT48に加入した当初は、アイドルといえば清純で真面目で可愛らしい人という偏ったイメージが私にもあったので、そういうアイドルを目指していたんです。でも韓国で、同業のあるアイドルが「私は私だから、私の人生だから、気にしないで」と歌っているのを見たときに驚き、かっこいい!って奮い立たされました。その歌詞にすごく力をもらったんです。私もアイドルだからとルールに縛られずに、言いたいことを伝えることで、逆にそれが誰かを元気にしてあげられるのかもしれないと考えるようになりました。いろんな人がいるようにアイドルにもいろんなタイプがあるし、ありのままの自分を出してもいいんだって。それに気づいてから、「自分のここが駄目」と決めていたリミッターが外れて、いろんなことに挑戦することは悪いことじゃないと受け入れられるようになったと思います。
  • 挑戦を後押ししてくれるのは、
    その先に待っている最高の自分の姿。
  • —宮脇さんの“運命”を変えた実体験について聞かせていただけますか?
  • HKT48で活動して約7年目に韓国のオーディション番組に参加したのですが、長年続けているとどうしてもルーティーンに沿った一年を毎年過ごしてしまうところがあって。アイドルをしながら1から何かを始めることはかなり難しいので、オーディションの機会をいただけたことはすごくうれしかったんです。特にオーディションを受ける前は、精神的に落ちるところまで落ちてしまっていて、どこに向かって行けばいいのかわからなくなっていたので、その山を乗り越えてからは何も怖いと思わなくなりました。
  • —オーディション番組ではトレーナーの方々に厳しく指導され、涙していらっしゃいましたね。
  • めちゃめちゃ怒られました(笑)。でもそれが私はすごくうれしくて。7年目になると怒ってくれる人も周りにいなくなっていたのですが、自分にもまだ伸びしろがあると気づけたので、怖いというよりはワクワク感のほうが強かったですね。その経験から、自分で自分の限界を決めていただけで、そもそもそんなものはなかったと気づきました。昨日の自分より、ほんの少しでも前進すればいいんだって思いながら、それ以降もただただ前向きに頑張ろうという気持ちが大きかったです。
  • —IZ*ONEとして再デビューするという転機が、かなりポジティブなシフトになったのでは?
  • 以前の私は、韓国で再デビューするとは想像もしてなかったですし、どうせ無理だと思っていて。でも今は、何か物事を始めるときに最悪のパターンを考えるのではなく、これが終わったら最高の自分がいるということを想像してからスタートするように意識しています。「VS ルール」の動画のクライマックスに、ビル何棟分もの高さがある大きな波に主人公が挑むシーンが、まさにそんなイメージ。最初の一歩が怖くても、その先にある最高の景色や新しい体験を想像する。そうすると、いい方向に進むんじゃないかなと思います。今思えば、もしあのままHKT48にいたら、日本語以外の言語を習得することもなかったかもしれない。母国語以外の言語が話せることは人生の誇りになりましたし、世界中の人に名前を知ってもらうチャンスにもなった。すごく辛いこともありましたけど、振り返ると楽しかったことばかり思い出しますね。

ルックスが変化するのも、
私のアイデンティティ。

—IZ*ONEの活動期間中は、ヘアメイク、ファッションの上でもさまざまなスタイルに挑戦されていた印象があります。
IZ*ONEとしてカムバックするときは、前にお見せしたものとイメージが重ならないようなヘアスタイルやメイクに挑戦していました。そうして髪の色をピンクにしたり強めのメイクをしたり格好いいファッションをしたりしたときに、今まで私を見ていなかった方々にも名前を知ってもらえて、「好き」と言ってもらえることが増えたんです。自分のしたいメイクやファッションがあるからこそ、新たに切り開かれるものもあるんだなぁと。

—常にルックスについてコメントされることに関しては、どんな思いがありますか?
例えば、太っていた時期と痩せた時期の写真を比較して「垢抜けたね」と言っていただけるのはすごくうれしいのですが、過去の私もまた私なので、それを否定されることは100%いい気持ちにはなれなくて。SNSの声って意外とこちらに届いているんですよね。「VS ルックス」編の動画では、リウ・シアン選手がプールで泳ぎながらSNSのコメントに出あい、SNSの深い海に溺れていく姿は、SNSの声の波にいるときの心情がすごくリアリティを持って表現がされていると思いました。それに、私はHKT48にもIZ*ONE にも所属していたので、どちらかの私のほうが好きと言われることに対して、何が違うんだろうと悩むこともちょっと前にはありました。やっぱり求められているものが違うので、見える姿が異なるからこそだと思うんですけど、どちらの姿も私なのにって。

—その悩みに対してはどう折り合いをつけたのでしょうか?
アイドルは人気商売ですし、注目していただけるだけでありがたいので、自分の中のどこかカケラの一つでも好きでいてくれる誰かがいるだけでうれしいと考えるようにしています。そもそも全てを受け入れてもらうのはすごく難しいことだと思いますし。ここにいるのは今の私なので、今生きている私が見せられるのは何だろう?ということを常に考え続けるしかないなと。

アンチな意見とは程よい距離を。
そこには自分を高めるヒントが。

—SNSは応援してくれる人もいればアンチの声も届きますが、どうやって上手く付き合っていますか?
体操のシモーン・バイルス選手がモデルとなった「VS アンチ」の動画にもあるように、私のもとにもやはりいろんな声が届きます。うれしいコメントも、チクリと傷つくものも。私は、ファンの方の求めていることを知りたいので、あえてエゴサーチします。ただ、今の時代、自分の身を守る方法も学んでおくべきだと思っていて、中身のあるアンチコメントとただの誹謗中傷では差があるので、それを見極める能力を身につけられたらさほど傷つかないんじゃないかなと思っています。

—その見極め方法、聞いてもいいですか?
アンチ発言をしている方のプロフィール欄と最近のツイートを見れば、どちらかはすぐにわかります。ただ発散したいだけの人であれば別に気にしない。でも、中には本当に私のことを思って言ってくださる方もいるんです。昔から私の応援をしてくださっている方のツイートは、「そういう意見もあるんだ」と心に留めるようにしています。

—ちゃんと距離をとって、感情を守りながらエゴサーチをされているんですね。
ただの文字情報、フォントだと思って見てます(笑)。ちょっと疲れてきたなとか、あまりにも多すぎてこれ以上は無理だなというときは距離を置きます。「VS アンチ」の劇中では、シモーン選手もアンチの声に押し潰されそうになりつつも、本来のスポーツ選手としての自分を踊ることで取り戻すシーンがあったと思います。私自身も、何かを迷ったり自分を疑ってしまうときは、ステージに立っている自分の映像を見ます。ステージに立っているときの私はとても楽しそうに見えて、私のいる場所はここだと、また力をもらえます。

—これまでどんな誹謗中傷が一番キツく感じました?
一番キツかったのは、自分がやっていないことに関するアンチの声ですね。例えば、自分の失敗で「実力がない」と言われても、「もっと練習して実力をつけないと」とすぐ解決できるから、傷つかずにいられる。でも、自分がコントロールできないところでも悪く言われることもあって。今は、そういうアンチコメントに関しても、傷つく必要はないと思うようにしています。それくらい、精神的に強くなりましたし、自分に自信を持ってもいいんだと思えるようになりました。

—日本にいたときにはなぜ自信が持てなかったのでしょうか
自信を持った瞬間に成長が止まると思い込んでいたんです。そうなるとどんなに頑張っていても自分を認められないのがすごく苦しくて、まだ駄目だとどんどん自分が潰れていってしまって。でも、韓国でIZ*ONEのメンバーとともに活動したことで、自己肯定と自己満足は違うんだと気づくことができたので、ポジティブになれたんだと思います。

背中を押してくれた仲間の存在。
だから成長を止めずに挑戦し続ける。

—宮脇さんは、日々どうやってセルフラブを実践していますか?
努力したことを認めてあげて、失敗しても「人間だから失敗するよね」と自分で許してあげること。それに、以前は常に人と比べてしまっていたんですけど、人と比べるのはもうやめました。他人の努力も認めて自分の努力も認めて、どちらとも程よい距離をとるようにしたら、すごく楽になったんです。今の自分が1年前よりも成長できていたら自信を持とうって決めてます。

—そうやって自信を持つことで、この2年半強い心でいられたんですね。
カムバックするたびに成長する姿を見てもらえて、日々成長できている実感がありましたし、ファンの方もそれをすごく応援してくださっていたので、いろんな問題に直面しても心の揺れはなかったかなと思います。

—ガールズグループの仲間と手を取り合い、高め合う体験をされてきたから強くいられた部分も?
辛くて一人で落ち込んでいるときこそ、周りにいる仲間の存在にすごくありがたさを感じます。隣を見れば同じ辛さを味わっている仲間がいて、頑張ろうと一緒に手を取ってくれたから乗り越えられたし、HKT48とIZ*ONEで出会った友達は私にとっては一生の宝物で、たぶんおばあちゃんになっても仲間なんだろうなと思います。辛いときに何も言わずそばにいてくれるだけで元気をもらえる存在です。私の卒業発表のときに、HKT48の先輩でもある指原莉乃さんがお手紙をくれたのですが、「さくらの人生はさくらのものだから」という言葉にすごく力をもらいました。このタイミングでの卒業は、あまりにも自己中心的じゃないかと考えることもあったし、実際にそんな声も聞こえてきました。でも、自分の人生において、大切な選択に責任を持てるのは私しかいないのだから、今の自分にしかできないことをやりたいと思いました。そんなふうにお互いを応援し合える関係に感謝しています。

—最後に宮脇さんが考える美しさについて、そしてHKT48卒業後に目指す先について聞かせてください。
今何をしたいかが明確で、自分の意見がしっかりある人はかっこいいし、美しいですよね。「VS シリーズ」の6組のトップアスリートの女性たちのように、常に成長を止めずに挑戦している人の姿を見ると、私も頑張ろうと勇気づけられます。これまで日本でも韓国でもアイドルをしてきましたが、まだまだ宮脇咲良を知ってもらいたいので、今後も世界に向けて宮脇咲良という名前、存在、生き方を発信できるような女性になりたいと思っています。まだ自分も知らない新たな角度からの自分を探していきたいですし、「今の自分が人生でピークです!」と言えることを常に目指して挑戦し続けたいです。

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